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士業の業際①

更新日:2023年4月27日



今回は士業の業際について少し時間をかけて書いてみました。


業際はとても大切ですが、牽制し合うばかりではなく、士業同士が協力することで誰かを助けることができたり、社会全体に良い影響を与えることができたら素敵だな、と私は思っています。今回の記事は行政書士だけでなく、他士業の先生にとっても参考になる情報があるかもしれません。士業のみなさんがご覧になって、私の認識が間違っているところや補足が必要な部分がありましたら、コメント頂けると大変助かります。どうぞよろしくお願い致します。


※今回の記事は目次の1〜3までです。

目次

1.業際とは何か

2.各士業の主な業務

3.業際の具体例 

   ①行政書士と弁護士

   ②行政書士と税理士

   ③行政書士と司法書士

   ④行政書士と社会保険労務士

   ⑤行政書士と弁理士

  4.依頼人に実際に言われたこと

  5.業際の説明をする時は丁寧にしないとダメ


1.業際とは何か

士業における業際とは、各士業の職域(業として行って良い範囲)の境界のことを指します。行政書士との間で業際問題が起こりやすいのは、弁護士・税理士・司法書士・社会保険労務士・弁理士さんあたりのようです。


2.各士業の主な業務

各士業が主に関係する官公署と業務を簡単にまとめました。

士業名

関係する官公署

業務

​弁護士

​裁判所

訴訟、紛争事件の和解

税理士

税務署

税務書類の作成、税務相談

司法書士

法務局

登記・供託、目的価額140万円を超えない範囲の訴訟や和解

社会保険労務士

労働基準監督署、年金事務所

労働や社会保険、年金に関する書類の作成

弁理士

特許庁

特許、実用新案、意匠、商標などの知的財産権の登録

​行政書士

市役所、警察署、保健所などさまざま

官公署へ提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成

※他の法律に制限されているもの以外のすべての書類作成が可能

3.業際の具体例

行政書士と、そのほかの士業との業際を具体的に見てみましょう。弁護士さんは弁護士法、税理士さんは税理士法、司法書士さんは司法書士法というように、士業の職域は法律によって定められています。必要な士業資格を持たない者がその職域に立ち入ると違法になるため、業務の内容や状況によっては、他士業との協力が不可欠になります。

 

①行政書士と弁護士


<例1>内容証明作成

内容証明を作成したいと考える背景には、なんらかのトラブルがあるケースが多い。例えば、未払金の督促や契約の解除など、通知後に相手方がその内容を履行(承諾)しない場合、依頼人が法的措置をとることもあり得る。もし、行政書士が内容証明作成を代理することで、行政書士が法的措置をとるようなイメージを与えたり、トラブルに介入しているかのように見えてしまうと、非弁行為(弁護士職域に抵触)を疑われる可能性がある。行政書士ができるのは依頼人の意思を文書にすることのみで、トラブルに介入することはできない。


<例2>遺産分割協議書作成

遺産分割協議書作成にあたり、相続人同士で争いが起きているケースがある。行政書士が話し合いの場に同席して交渉したり、和解させようとする行為は、非弁行為に該当する可能性が高い。あくまでも「相続人同士が協議した内容」を取りまとめて文書にすることが行政書士の業務である。


■ポイント:紛争性のある案件は弁護士さんのお仕事

 

②行政書士と税理士


<例1>税務書類作成

税務の個別具体的な相談や、税務書類の作成は税理士の職域である。例えば行政書士が相続関連の業務を受任した際に、相続税の具体的な計算をしたり申告書の作成をすることはできない。ただし、会計記帳業務については行政書士が行うこともできる。注意点としては、会計記帳データをもとに税理士が申告書作成を行うため、行政書士と税理士が連携をとる必要がある。


また、あまり知られていないが、自動車税や事業所税など一部の税務書類は行政書士が作成することも可能である。(詳細は税理士法51条の2にあり)


<例2>酒類の免許申請

酒類の製造や販売を行うには管轄税務署へ免許申請を行う必要がある。酒類の免許は酒税法に基づくものであり、免許申請業務は税理士ではなく行政書士の職域である。


■ポイント:税務の具体的な相談や、税務書類の作成は税理士さんのお仕事

 

③行政書士と司法書士


<例1>法人設立

行政書士は法人設立時に必要な定款作成や定款認証手続きは可能だが、法務局での登記業務は司法書士の職域である。ただし、医療法人など設立前に許認可が必要な場合の許認可申請は、行政書士でなければできない。


<例2>農地転用許可申請

農地の所有権移転や農地を農地以外にしたいときは、農地転用許可が必要であり、この申請は行政書士でなければできない。しかし、その後の所有権移転登記は司法書士が行う必要がある。(2023/4/4訂正・補足:地目変更登記は土地家屋調査士の職域)


■ポイント:登記業務は司法書士さんのお仕事

 

④行政書士と社会保険労務士

もともと行政書士が行なっていた業務の一部を社会保険労務士が担うようになった歴史もあり、業際に気づきにくいこともあるので要注意。


<例1>福祉関連施設の開設許認可

介護保険法に基づく施設開設の許認可は社会保険労務士の業務だが、障害者総合支援法に基づく施設開設の許認可は行政書士の業務である。

介護保険法に基づく事業→訪問介護、老人介護デイサービス、介護老人保健施設 など

障害者総合支援法に基づく事業→居宅介護、就労継続支援、放課後等デイサービス など


☆とらねこメモ

「訪問介護(加齢に伴い介護が必要になった方へのサービス)」と「居宅介護(障がいなどで介護が必要な方へのサービス)」のように名称が似ているものもあり、サービス名称だけを見ても判断がつきにくい。福祉関連施設の開設の場合、依頼人が開設したい施設がどの法律に基づく施設なのかを一番に確認した方が良いと思う。


<例2>助成金と補助金

厚生労働省管轄は助成金、経済産業省管轄は補助金と表現されることが多い。助成金申請は社会保険労務士の職域である。一方、補助金については特にどの士業の職域ということはなく、税理士・中小企業診断士・行政書士などが行なっている。また、士業資格を持たないコンサル会社が申請のサポートをしていることもある。


■ポイント:労働、社会保険、年金に関する業務は社会保険労務士さんのお仕事

 

⑤行政書士と弁理士


<例>知的財産権の登録

特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産権を特許庁へ登録する業務は、弁理士の職域である。行政書士も一部、知的財産権に関する業務が可能であり、文化庁への著作権登録申請や、農林水産省への種苗法に基づく新種登録出願を行うことができる。また、日本行政書士会連合会の著作権相談員養成研修を受講し、テストに合格すると「著作権相談員」の認定を受けることができる。(詳細は日行連「知的資産・知的財産」へ)


☆とらねこメモ

知的財産権の登録は複雑で高度な知識が必要。「著作権の登録だから行政書士でも受任できる」と安易に判断するのは危険に感じる。もし依頼があった場合は、弁理士と連携をとることが望ましいと思う。


■ポイント:特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産に関する業務は弁理士さんのお仕事

 

士業の業際①では、 「業際とは何か」「各士業の主な業務」「業際の具体例」についてまとめてみました。士業の業際②では、私の実体験をもとに「依頼人に実際に言われたこと」「業際の説明をする時は丁寧にしないとダメ」といった内容を書きたいと思います。


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行政書士 法務事務所とらねこ

行政書士 石垣わか


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